はじめに：OTA環境の変化と民泊運営の潮流
近年、民泊をめぐるOTAの環境が大きく変わってきています。AirbnbやBooking.comをはじめとする主要プラットフォームでは、手数料体系の見直し、決済方式の変更、集客競争の激化などが起きており、民泊オーナーにはこれまで以上に「コスト意識」「ブランド戦略」「直接予約の育成」が求められるようになっています。こうした潮流を理解すると、「なぜ自社ホームページを持つこと」が今まさに重要なのかが見えてきます。
最新OTA動向ピックアップ
以下、最近のOTAの動きから特に注目すべきポイントを整理します。
| 変化／傾向 | 内容 | 民泊オーナーにとって のインパクト |
|---|---|---|
| Airbnbの単一料金体系への移行 | 2025年10月27日付近で、Airbnbは従来のPMS（在庫管理ソフト）を使っているホストを中心に「ホストのみ負担」の手数料を１５％から１５．５%に増える見込み。 | ホストコストが上がることで、利益マージンの圧迫が進む。Airbnbを主力にしている民泊ほど「配分」の見直しや価格戦略の見直しが必要。 |
| 国内OTAの手数料＋ポイント負担の複雑化 | 例えば、楽天トラベル、じゃらんなどでは基本手数料のほか、ポイント施策や会員ランクによる“ポイント分負担、クーポン・広告プログラムによる追加手数料などがかかるケースが多く、総合的な手数料負担率が表面化していないコストが増え実質的に利益を圧迫している。 | コスト見積が甘いと利益を削られる。表に出ていない“隠れコスト”にも注意が必要。特に清掃代行等の外注コストや運営コストとの兼ね合いで、手取り収益を確保するにはコスト構造全体の把握が重要。 |
| レビュー・口コミの重要性の増大 | OTAでの“クチコミ数・評価スコア”が、検索アルゴリズムや露出（ランキング、特集枠など）に大きく影響するようになってきている。特に新規物件は、Airbnbなどで20〜30件、可能なら50件近くの高評価レビューを最初に集めて信頼性を構築するステップが重要といわれています。 | 新規オープンや清掃品質・対応品質を示す材料が少ない物件は埋もれがち。口コミ・写真・説明文の充実が不可欠。ホームページを持っておけば、独自の高品質写真やお客様の声を蓄積・ファン化や紹介などを促し効率的に評価を貯められる。 |
| 直接予約（自社予約エンジン／予約フォーム）の比率と必要性の拡大 | 最近、「予約エンジンを導入して直接予約比率を高め、OTA手数料を削減する」事例が増えてきており、月商100万円クラスの民泊で、年間で数十万円の手数料削減につながる試算もされている。 | OTA中心ではなく、自社ルートを育てることで収益の安定化が可能に。ホームページを使えば、直接予約の動線確保・特典設計などができる。 |
| OTA間での価格・プロモーション競争の激化 | OTA同士で「最安値保証」ポリシーがあったり、特別割引・早期割引・直前割引・インバウンド特化プロモーションなどプロモーション機能も複雑化してきており、露出を得るには広告枠や露出向上プログラムの出稿コストが上乗せされる場合が多い。 | OTAだけに頼るとこのプロモーションコストがかさむ。ホームページを使って自社でプロモーションをコントロール／特典を出すほうが柔軟性がある。 |
ホームページを持つことがメリットとなる最新理由
上記のOTA動向を踏まえて、清掃代行会社が民泊オーナーに対して「ホームページを持つこと」を提案する際に強調できる理由を以下にまとめます。
１．利益率の改善（手数料コントロール）
Airbnbの手数料上昇傾向や国内OTAのポイント・広告費加算を考えると、OTAに支払うコストが増加する可能性が高いです。自社サイト経由の予約を促進することで、これらの「取り分」を抑えられ、清掃代行を含む運営コスト構造の中で安定した収益が確保できます。
２．ブランド・信頼性の可視化
OTAではレビューや写真、設備など、ある程度型にはまった表示形式が多く、運営者個々のストーリーや清掃品質・安全衛生のこだわりなどを全面に出すことは難しいです。ホームページであれば、清掃代行体制や衛生基準、清掃担当者紹介などを詳しく見せられ、他施設との差別化になります。
３．直予約・特典・柔軟な価格設定の実現
ホームページを使えば、早期予約割引、連泊割引、最低宿泊数設定などをOTAの制約外で自由に設計できる他、自社予約エンジンを導入すれば決済方式も自由度が高くなります。OTAでは「最安値保証」などの制約から価格を下げざるを得ないケースがあり、利幅を取るのが難しいこともあります。
４．口コミ・評価の補完と集積
OTAで得られるレビューは非常に重要ですが、それだけでは足りないことも。自社サイトにゲストの声（レビュー・写真）を掲載できると、SEOでのコンテンツにもなり、潜在顧客に対する安心感が増す。特に、口コミ数が少ない時期の評価アップに役立ちます。
５．外的ショックへの対応力
OTAの規約変更・手数料アップ・決済方式変更など、プラットフォーム依存にはリスクがあります。実際、Airbnbの料金体系の変更などは、ホスト側に対して直接的なコスト影響をもたらしています。自社サイトを持って集客ルートを分散することで、OTA変動の影響を和らげられる。
６．マーケティング資産としての継続的活用
ホームページは一度作れば、写真やコンテンツ、地域情報などを更新し続けることで資産になります。特にSEO（検索エンジン最適化）を意識した地域情報・観光案内・清掃体制の情報発信などを継続することで、オフピーク（閑散期）でも検索からの流入が見込めます。
まとめ：OTAとホームページ、併用がいま最適戦略
- TAは強力な集客チャネルだが、手数料・広告費・規約変更などコスト・リスクも増してきている。
- 最新のOTA動向を見れば、利益を守るためにも「直接予約比率を上げる」ことがますます重要になってきている。
- ホームページは、清掃代行会社としてオーナーに対して「独自性・品質・利益改善」の観点で訴求できるツール。
- OTA依存のみではなく、「OTAで露出を得ながら、自社サイトを使って予約導線を作り、ブランドを育てること」が、2025年における民泊運営の勝ち筋。